看護師として働いているうちに、次第に働くことの疑念が生じてきて、自分が考えてもいなかった様々な出来事に気圧されて、その重圧に耐えきれなくなって退職をしてしまうことはあると思います。自分が一生働いても良いと心に決めていた職場であっただけに、入職したときに抱いていた看護師として全うしていこうとする精神がそがれてしまったことに対して、「自分はこんなに弱い人間だったのか、なんでもっと心が強くなれないのだろうか」といった言葉を自分に浴びせてしまう方もいるかと思います。
　しかし、いつまでも退職した自分を悲観していては、収入がないためいずれは生活がままならなくなります。結局は病院を退職したら次に考えることは転職することであり、少なくとも次の職場では自分が快適に働ける所でありますように、という願いを抱きつつ就活をすることになります。
看護師の離職率が高い現代において、面接で訪れた病院で「この人も離職経験が多いんだな、前に入った人みたいにすぐに辞めたりしないのかな」という疑惑を抱かせてしまう自分が恥ずかしくなる方もいるかもしれません。そうした自分に対して思わず嫌悪感を覚えることがあると思うのです。希望を勝ち取るために面接に行っているはずなのに、羞恥心を味わうためにこの場に来ているかのような自分が何とも言えなく滑稽に思えてくることさえあると思うのです。しかし、面接の場に赴いているのは、そもそも自分が退職をしたことによるものであることなので、自分が選んだ道に責任を持ちましょう。面接の際は、自信を漲らせ乗り切ることに意識を集中することが大切なのです。自分が進む道には喜びがあればつらいことがあるのは必然性として孕んだものであり、面接もまたその道を進む過程において生じた一部なのですから。
　退職をする理由は人それぞれ異なり、自分がこの病院に居ることで自分の価値観を踏みにじる障害があったり、自分を取り巻く事情によって職場を後にすることが往々にしてあるのです。病院側もまた、職場を離れることになる方に対して、今までこの病院に貢献してくれたことに対してのねぎらいの言葉をかけ、あなたのおかげで病院を運営できたと感謝の気持ちを伝えていくことが大切になると思うのです。離職者が退職の際、一言でもこうした言葉をかけられることによって、この病院で頑張って働いてきて良かった、と思うようになり、退職したあとに疲れた羽を休めて次の羽ばたきに備える原動力となることを理解してほしいものです。